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経験者に聞きました!

苦労の連続の10年。
でも農業には、それ以上の楽しさと喜びがあります。

  • 岩国市
  • 「TARO(タロウ)」・イチゴ生産販売
  • 山中健生

山口県へのIターンで農業に従事する先輩 仕事風景 その1

移住されるまではどのようなことをされていたのですか?

生まれ育ったのは山口県ではなく、高専を卒業後、東京でコンピューター関係の会社に就職しました。3年で退職し、兄の影響で高校時代から始めていたサーフィンの腕をもっと上げようと、ワーキングホリデーを利用してオーストラリアに行きました。帰国してからは、機械系の会社で働いたのですが、やりがいをあまり感じられなくて…。そんな時、仕事で行った筑波で、当時、大学院で植物病理学を専攻していた妻に出会いました。農業について楽しそうに話すのを聞いているうちに、急激に農業への興味が湧いてきました。そして、26歳の時にイチゴ農家になることを決意し、退職しました。妻とは、由宇町でイチゴ栽培を始めてから結婚しました。

山口県へのIターンで農業に従事する先輩 仕事風景 その2

どうして、イチゴ農家になろうと思われたのですか?

イチゴ農家は儲かるという話を聞いたからです。後になってから、そのときの金額は、所得ではなく売上だということに気がつきました(笑)。大きな勘違いからのスタートでしたね。

岩国市由宇町を選ばれたのですか?

転勤族だった父が、定年退職後、祖父母の家がある岩国市由宇町に戻っていました。イチゴ農家は1年中休みがないので、関東で始めてしまうと家族に会うのが難しくなってしまいます。家族のつながりを大切にしたかったので、イチゴ農家をやるんだったら山口県で、と考えました。

山口県へのIターンで農業に従事する先輩 仕事風景 その2

新規就農へ向けて、どのようなことから始めていったのですか?

茨城県のイチゴ農家で1年間研修させていただきました。その後、柳井市のイチゴ農家さんの元でさらに1年間学びました。柳井市の農家さんは、感動するほどおいしいイチゴを作られていて、一切PRをされていないのに、お客さんがどんどん来られるんです。「イチゴに営業させるんだ。イチゴがお客さんを呼ぶんだ!」という姿勢に、とても衝撃を受けたと同時に、自分たちもそうなりたいと強く思いました。

新規就農に関する苦労を教えてください。

農地探しは本当に苦労しました。休耕田を中心にいろいろと探したのですが、水はけや土地の形状などの問題があって、希望に合う土地は見つかりませんでしたね…。最終的には、祖父母が土地をお貸ししていたレンコン農家の方に、こちらで探した別の農地に移っていただきました。その後、全面的に土壌改良をしてイチゴ農園として使うことにしました。また1年目は、納得のいく味のイチゴを収穫することができなくて、すでに入っていたクリスマスの予約を全てお断りしました。でも、自分たちでは何が原因なのか全く分からなくて…。柳井市のイチゴ農家さんに相談したところ、水の量が原因だったということが分かりました。イチゴって、水と肥料のちょっとした割合でも、味が大きく変わってしまうんです。その失敗のおかげで、味にはとても敏感になりました。今は肥料の使用を最低限にして、水やりの量やそのタイミングを調節するなど、イチゴ自体の能力を十分に発揮させるよう、二人で日々考えながら生育環境を改善しています。

新規就農支援制度は活用されましたか?

研修期間中の最長2年間、月10~15万円給付していただける支援制度を活用しました。それに際して、山口県岩国農林事務所や、岩国市由宇総合支所農林建設課、やまぐち農林振興公社、JA、地元の方たちなど、たくさんの方に親身になって相談に乗っていただきました。支援制度を活用するためには、事業計画書を作成する必要があったのですが、何度もダメ出しをされて、投げ出してしまいそうになりました。そんな時に、農林建設課の方から「今までのような農業をやりたいの?それとも計画性のあるこれからの農業をやりたいの?」と言われてハッと目が覚めました。そのおかげで、事業計画書の重要性を再認識することができ、最後まで作りきることができました。

山口県へのIターンで農業に従事する先輩 仕事風景 その3

現在の状況はいかがですか?

夫婦で「収穫量以外、何の問題もないよね」ってよく話しています(笑)。研修でお世話になった茨城県や柳井市の農家さんと同様に「直販」でスタートしましたが、ほとんどPRをしていないのに、おかげさまで約70%が直販で売れています。「誠実でいよう!」「由宇が好き!」という私たちの気持ちが地域に受け入れられた結果だと思い、とても嬉しいですね。お客様から直接「おいしい」と言っていただけることが、日々の心の支えとなっています。

岩国での生活はいかがですか?

人が良くて、海山が近くて、渋滞がなくて、スーパーが近い!今の生活にはとっても満足しています。山口県には、子どもたちの好奇心を育ててくれる場所がたくさんありますよ。先日も、子どもたちが図鑑を見て「秋芳洞に行きたい!」と言ったので、急いで仕事を終わらせてから遊びに行ってきました。子育てをするには、山口県はとてもいい環境だと思います。

山口県へのIターンで農業に従事する先輩 仕事風景 その3

UJIターンを考えている方へのアドバイスをお願いします。

移住や起業を考えている方は、その目的や理由を冷静に考えてみるといいと思います。そしてやるならできるだけ早く始めることをおすすめしたいですね。僕は農業を簡単に考えていました。毎日の管理で味が変わるということも知りませんでした。農業は自然を理解して上手に活用する仕事、生き方です。仮説を立て、結果が出て、その原因を考えることの繰り返しです。この10年間、さまざまな苦労はありましたが、農業にはそれ以上の楽しさと喜びがあると思います。

最後に、これからの夢を教えてください。

さらにおいしいイチゴ作りを追求していきたいですね。そして将来的には、農業を通じて発展途上国への支援に携わりたいという妻の夢を実現するために、最も難しいと言われている「イチゴの無農薬・無肥料栽培」にもチャレンジしていきたいと思っています。


山口県へのIターンで農業に従事する先輩

山中健生さん
やまなか・たけお/岩国市在住 イチゴ生産販売「TARO」
東京の会社に勤務していたときに、大学院で植物病理学を学んでいた妻の歩さんと出会って新規就農を志し、退職。茨城県のイチゴ農家で1年間研修後、祖父母の地、実家がある岩国市由宇町へ孫ターン。柳井市のイチゴ農家で1年間研修後、2009年「TARO」を開業。将来の夢は、農業を通じて発展途上国の支援に携わりたいという妻の夢を実現するために、最も難しいといわれている「イチゴの無農薬・無肥料栽培」を実現すること。
  • 「やまぐち」のY、「わいわい楽しい暮らし」のYを組み合わせた、山口県へのUJIターンを意味するキャッチフレーズです。